【読書感想文】徳川将軍家のブランド戦略 と会議の行き過ぎ

今いる会社では「常務会議」なるものがあり、これが入ると企画屋は大忙し。慌てて見栄えの素晴らしい過去の業績グラフや芳しくない足許の進捗状況も注釈や強調箇所を変えることにより印象を素晴らしいものにし、部の予算が削減されることを全力で防ぎに行きます。

それ以外にも「常務宛定例報告会」というのがあって、こちらは「常務会議」よりも頻度が多い一方、決まったフォーマットがあり淡々と業績を報告をする会であります。業績がさえない場合は担当課長・部長のプレゼン能力とそのための企画屋の入れ知恵で凌ぐというのが常です。

上の人に会うことは左様に面倒が臭いわけですが、「徳川将軍家のブランド戦略(安藤優一郎著、新人物文庫)」を読むと、将軍様宛の面談は面倒を超えて困難を極めていたそうです。

まずは儀礼。下がるときに襖にぶつかるのは問題外で、畳の縁に手が触れるだけでもアウト。ミスしたら会が終わった後にお目付け役から叱責大会。

四半期に一回ぐらいならいいかな、と思いきやそうもいかない。年始の挨拶、人日の節句(1月7日)、上巳の節句(3月3日)、端午の節句(5月5日)、嘉じょうの日(6月16日)、七夕の節句(7月7日)、八朔(8月1日)、重陽節句(9月9日)、玄ちょの日(10月最初の亥の日)とほぼ毎月ペース。

人によっては、毎月1日、15日に「月次(つきなみ)」と呼ばれる定例報告会に出なければいけなかったとか。

しかも呼ばれた大名がふらりと一人で行くわけでもなく、大名行列江戸城を目指す。筆者による推定規模は1万人。江戸の人口は概算で50万人だったので、都市人口の2%が大移動するわけです。今の東京なら20万人が皇居目指して歩く計算。

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出所:http://www.toukei.metro.tokyo.jp/jugoki/2002/02qdj210003.pdf

当然ながらかかる費用は莫大。そら月1回ペースで1万人移動させてたらそうなりますわな。壮大な労働力の無駄遣いであり、将軍の威光を維持するコストとしては莫大だったのでしょう。倒幕の遠因にもなったんではないでしょうか。

 

皆さんの会社でも上の人に会うための労力・コストが莫大になってませんか? それ幕府病かもしれないですよ。